日本の大企業におけるコーポレート・ガバナンス改革--日立の事例 (特集 コーポレート・ガバナンス改革と雇用・労働関係)

Abstract

(著者抄録）１９９０年代末からの日本におけるコーポレート・ガバナンスの諸変化は、単に伝統的な「日本モデル」対（「グローバル・スタンダード」の旗印の下、輸出された）「アメリカモデル」の衝突の産物と把握すべきではなく、競争環境の激変下で、いかに企業再活性化を図るべきかという試みとして把握すべきである。本稿は、こうした立場を、巨大電機メーカー日立製作所の組織、人事、の諸改革の事例に適用するとともに、その分析が、コーポレート・ガバナンスに対していかなる含意を持ちうるのかを検討したものである。その大掛かりな改革によって、たしかに、日立のコーポレート・ガバナンス・モデルは修正され改変されているが、決して放棄されてしまったのではなく、その主要な骨格を保持している、というのが本稿の結論である。目次1.序章 2.巨大企業／グループの勃興とつまずき 3.改革の必要性と重点 4.経営・組織改革 5.人事・ＨＲＭ改革 6. 労使関係への影響 7.諸改革に対する評価